◆範囲内は非課税対象

毎日の通勤に電車やバスなどの公共機関はもちろん、マイカーや自転車を利用する方は多いでしょう。
役員や使用人の通勤にかかる費用は、通勤手当や通勤用定期乗車券として通常の給与所得に加算して支給されます。これらは、「合理的な運賃等の額」の範囲内である限り課税されないことになっており、1カ月あたりの非課税となる限度額を超えなければ源泉徴収の対象となりません。この限度額はどのように定められているのでしょうか。

◆通勤に電車やバスなどの交通機関だけを利用している場合

この場合の非課税限度額は、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額です。なお、当該金額が10万円を超える場合は10万円が非課税限度額となっています。また、遠距離通勤者が新幹線を利用した場合の運賃等の額も「経済的かつ合理的方法」ということであれば限度額までは非課税対象です。しかし、グリーン車の特別車両料金は非課税対象に含まれません。

◆マイカーや自転車のみで通勤している場合

マイカーなどで通勤している人のガソリン代や駐車場代の非課税限度額は、片道の通勤距離に応じて各々定められています。また、片道15キロメートル以上の人が電車やバスを利用して通勤しているとみなした時の定期券1カ月の金額が、それぞれの限度額を超える時はその金額が限度額となります。更に、この場合に他に利用できる交通機関がなければ10万円を限度として通勤距離に応じたJRの地方交通線の通勤定期券1カ月当たりの金額で判定することもできます。

◆電車やバスと合わせてマイカーを使う場合

この場合も非課税となる限度額は電車等の通勤定期券等の金額とマイカー等の片道の距離による非課税額を合計したものとなりますが、10万円を限度として超過金額は給与として課税されます。 

 

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、①主たる給与から受けるもの、②他の所得者が受けるもの、③従たる給与から受けるものの欄から構成されています。

この申告書の提出は、年末調整事務においては必須の手続きで、一般的に、本年であれば、「平成22年分給与所得者の保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」と「平成23年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を主たる給与支払者に提出します。この場合、保険料控除申告書は平成22年分であるのに対して扶養控除等(異動)申告書は平成23年分となっています。

ここでの注意ですが、平成23年分の扶養控除等(異動)申告書の様式が一部変更されている点です。「B扶養控除欄」が「B控除対象扶養親族(16歳以上)(平8.1.1以前生)」と、また、従たる給与の欄は、新たに「住民税に関する事項」となっています。そして、従たる給与については、別途、その申告書の様式が定められています。

◆従たる給与についての申告書の提出要件

従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書は、なんの制限もなく従たる勤務先に提出できるか、と言えばそうではありません。

この申告書は、当然ですが、2以上の給与の支払者から給与を受ける人で、主たる給与の支払者から支給されるその年中の給与の金額(給与所得控除後の給与等の金額)が次の①と②の金額の合計額に満たないと見込まれる場合に、従たる給与の支払者のもとで配偶者控除や扶養控除を受けるときに提出できるものです。

①主たる給与の支払者から支給される給与につき控除される社会保険料等の額

②その人の障害者控除額、寡婦(寡夫)控除額、勤労学生控除額、配偶者控除額、扶養控除額及び基礎控除額の合計額

◆扶養親族の異動は自由か

なお、主たる給与の支払者に申告をした控除対象配偶者及び扶養親族を年の中途で従たる給与の支払者に申告替えすることはできます。しかし、従たる給与の支払者に申告した控除対配偶者及び扶養親族を年の中途で主たる給与の支払者に申告替えすることはできません。

 

この少子高齢化の時代に、従たる給与から控除を受ける人はどれだけいるでしょうか、ましてや、来年から年少者の扶養親族が控除対象扶養親族から除外されることを併せ考えると皆無ではないでしょうか。

 

今年も年末調整の時期がやってきましたが、年末調整は年末だけに実施されるわけではありません。
最近では、中小企業でも海外子会社の設立、海外企業との合弁があり、従業員の海外勤務の機会が格段に増加しています。年の中途で1年以上の予定での海外勤務にもなると所得税の取扱が様変わりします。

◆居住者と非居住者

居住者とは、国内に住所を有しているか、又は現在まで引き続いて1年以上国内に居所を有する個人をいい、非居住者とは居住者以外の個人をいいます。居住者は全世界で得た所得に対して所得税が課され、非居住者は国内源泉の所得についてのみ課税されます。以上が、我が国の所得税の取扱いです。

◆年の中途で年末調整

年の中途で1年以上の予定で海外勤務となった場合、その者は居住者から非居住者になりますので、その年初から海外勤務となる日までの期間について、所得税の清算が必要になります。すなわち、収入が給料だけの場合には、会社は年末調整し、居住者であった期間の所得税を確定しなければなりません。通常、年末調整は12月に実施しますが、年の中途で非居住者となる場合には、その時点で実施します。

ちなみに、年末調整の仕方は、通常、12月に実施する内容と同じであり、準備すべき資料、生命保険控除証明書や地震保険控除証明書、扶養控除の異動などを含めて勤務先に提出します。

また、勤務先からの給料以外の他に不動産所得などがある場合には、居住者期間の所得を清算するため、年末調整済みの給与所得と不動産所得を合算、出国時までに確定申告する必要があります。

なお、出国とは、納税管理人を定めないで国内に住所及び居所を有しなくなることを言います。従って、給料以外に所得のある人は、納税管理人を定めれば、給与については年末調整をした上で、年の中途であっても、確定申告は翌年2月16日から3月15日まですればよいことになります。

◆住民税の課税

住民税は、その年の1月1日における国内の住所地及び居所地の市区町村が課税します。従って、海外勤務となった年の翌年1月1日には国内に住所等を有していませんので住民税の課税はないことになります。 

専業主婦の妻がパートで働きに出た場合は幾らまでなら稼いでよいのか? という質問をよくいただきます。
専業主婦がパートで働く場合年収「100万円」「103万円」「130万円」の3つのハードルがあります。これは「妻に住民税がかかる。」「妻に所得税がかかる」「社会保険の扶養から外れる」ということを意味します。

◆100万円のわけ

住民税がかかってきます。しかも住民税の基礎控除は、33万円ですから、100.1万円の給与があった場合は、給与所得控除は65万円ですから、100.1-65-33=2.1万円に住民税の所得割2,100円と均等割4,000円がかかってきますので、手取りは返って減ってしまうことになります。

◆103万円のわけ

一番よく耳にする数字だと思います、これは所得税の課税されない上限です。給与所得から給与所得控除65万円と基礎控除38万円が引けますので、65+38=103ということになります。これを超えなければ所得税がかかりません。夫は配偶者控除を受けられます。しかし103万円を超えても夫の年収が、1,000万円以下ならば配偶者特別控除が使えます。141万円まで概ね5万円刻みで控除は少なくなりますが、夫の税金負担増を合わせても、住民税のような、負担逆転現象は起きませんので、必要以上に気にする必要はありません。但し夫の年収が1,000万円
超の場合は配偶者特別控除が使えませんのでご留意下さい。

◆130万円のわけ

妻の収入が130万円以下の場合は夫の扶養として夫の会社の健康保険に加入出来るからです。妻の収入が130万円を超えると妻の勤務先の健康保険に加入するか、国民健康保険に加入する必要があります。妻が40歳以上だと介護保険料の負担もあります。妻が仮に132万(月11万円)パート収入があったとすると勤務先で健康保険に加入して年間約7万円の保険料負担になります。
さらに、年金保険料の負担も発生します。
今までは専業主婦でしたから夫の年金に相乗りできましたが、パート先の厚生年金保険に加入するか、国民年金の被保険者として保険料の納付が必要になります。厚生年金保険の場合は、年間約10.6万円(8,831円×12ヶ月)の保険料負担になります。
 

 

◆新卒者に対する就職支援の強化

長引く不況の影響もあってか今年の大学新卒の就職率55.8%(9月1日現在)との報道を日常的に目にする今日この頃ですが厚生労働省は、将来ある新卒者の就職の実現に全力で取り組む事として、全都道府県労働局に新卒者等が利用し易い専門のハローワーク、「新卒応援ハローワーク」を設置しました。

既卒者の就職を促進するため「新卒者就職実現プロジェクト」として、大学・高校等を卒業後3年以内の既卒者を正規雇用へ向けて育成するため、有期で雇用し、その後正規雇用へ移行させる事業主に対する助成金を創設しました。

◆3年以内既卒者トライアル雇用奨励金

⇒対象事業主
既卒者トライアル求人をハローワークまたは新卒応援ハローワークに提出し、それらの紹介により、原則3ヵ月の有期雇用をし、その後に正規雇用で雇い入れた事業主

⇒奨励金支給額
(1)有期雇用期間(原則3ヵ月)10万円/月/1人(MAX30万円)
(2)有期雇用終了後の正規雇用での雇入れ・・・50万円/1人/(雇入れから3ヵ月後に支給)

⇒支給対象労働者
大学等を卒業後3年以内の既卒者で1年以上、同一事業主に正規雇用された経験のない人。ハローワークに求職登録している人でH20年3月以降の新規学卒者、中学・高校・高専・大学・大学院・専修学校等卒業者が対象です。

◆3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金

⇒対象事業主
大学等の既卒者を正規雇用する事業主、又は卒業後3年以内の大学等の既卒者も応募可能な新卒求人を、ハローワーク又は新卒応援はハローワークに提出しそこからの紹介で正規雇用した事業主

⇒奨励金支給額
正規雇用での雇入れから6ヵ月経過後に、100万円を支給(同一事業所の支給は1回限り)

⇒支給対象労働者
3年以内既卒者トライアル雇用の場合と同じ要件ですがこの助成金の大学等とは短大・大学・大学院・高専及び専修学校卒業者となっています。 

 

2010年相続税ゼロは、アメリカ合衆国の連邦遺産税の話です。これは事実で、アメリカ合衆国では、どんな大金持ちでも2010年に亡くなった人には連邦遺産税(遺産税)は課されません。

この遺産税廃止は、前政権ブッシュJrの時代に立法化されましたが、この法律が日本でいうところの「時限立法」だったことから、本年限りでその効力は失い、2011年から遺産税は復活し,現段階では2001年以前の規定に戻る予定です。

◆遺産税の特徴

遺産税は日本の相続税にあたるものですが、日本の相続税のように遺産を取得した者が相続税を納めるというのではなく、遺産そのものを対象に課税しますので、相続人の数や遺産分割の内容によって税負担が影響を受けるということはありません。

実際には、故人に代って遺産財団が組まれ、遺産管理人又は遺言執行者が納税をも含めた相続業務を遂行します。申告期限は、原則、亡くなった日から9ヶ月以内です。

◆相続により取得した遺産の取得価額

遺産の取得価額は、原則、被相続人の死亡日における当該資産の公正な市場価額、つまり相続開始日の時価です。この時価引継をステップアップ方式と言っています。この場合、相続開始後、期間を置かず取得した遺産を譲渡してもキャピタル・ゲイン課税(含み益課税)は生じません。

しかし、遺産税廃止年度に限って、キャリーオーバー方式と言って、被相続人の取得価額を引継ぐことになっています。この場合、遺産の譲渡に際して、一般的には、キャピタル・ゲイン課税が生じます。

この取得価額の引継ですが、厳密には、被相続人の取得価額と死亡時の時価とのいずれか低い方になりますが、一定の要件を満たす場合には、加算調整が行われ、被相続人の取得価額に一定額(130万ドル、配偶者300万ドル)の加算が行われます。

◆遺産税と所得税の二重課税

年金二重課税禁止の最高裁判決で話題になっている「相続税」と「所得税」の二重課税の問題ですが、この二重課税の範囲をどこまでとするかは別として、我が国のような相続により取得した財産に相続税を課し、その後の譲渡で所得税を課する税制とは異なり、少なくとも、アメリカ合衆国の場合は、上記のように、「遺産税」と「所得税」の二重課税は排除されています。

◇ねんきん定期便の見方と注意点

「ねんきん定期便」は厚生年金や国民年金の加入者に年金の加入履歴を通知して、本人に確認をしてもらう事、又年金制度の理解を深めてもらうため平成21年4月から実施されました。今年度は2年目に当たり、誕生月にA4版又は長3定形版の封筒で日本年金機構から加入者の自宅に送られてきます。

◇最初の「ねんきん定期便」を見てみると

1年目の定期便は、普通の通知の方は水色の封筒、記録漏れや標準報酬の改ざんの恐れのある方の定期便はオレンジ色の封筒で送られてきていました。

定期便の内容は

①年金加入期間(加入月数・納付月数等)
②年金見込額(50歳未満の方は加入実績による年金見込額、50歳以上の方はその時加入している年金制度に引き続き加入し続けた時の年金見込額) 但、年金受給者や在職老齢年金受給者の方には見込額は通知されていません。
③保険料納付額
④年金加入履歴
⑤厚生年金の全加入期間の月額標準報酬、平成15年4月以降の賞与額、保険料納付額
⑥国民年金の全期間の月ごとの保険料納付状況(納付・未納・免除等)

以上のような通知を受け、履歴欄に「空いている期間があります」と書かれていたときはその当時の年金加入状況を思い出してみましょう。

◇今年度の通知は直近の加入記録が来る

今年度の定期便は、節目年齢の35歳・45歳・55歳の方には、前年と同様の通知がなされますが、それ以外の方には、加入期間や見込額保険料納付額は更新されていますが「最近の月別状況です」の用紙により、まとめて直近13カ月分の加入の履歴や標準報酬、月別保険料納付状況が載っています。このデータは誕生月の4カ月前までの分が作成されています。

勤務先や資格取得・喪失月日、加入月数、納付月数、標準報酬月額を確認してみましょう。

もし漏れや誤りを見つけた時は、薄黄色の回答票に内容を記載して回答しましょう。

◇個別消費税とは

消費税というと、5%の消費税を思い浮かべますが、消費税には一般消費税と個別消費税といわれるものがあります。一般消費税は普段私たちが買い物などの際に、価格の5%を負担するいわゆる消費税です。個別消費税は、ある特定の物やサービスについてのみ課税されるものです。例えば、今年10月から増税されたたばこ税や酒税・ガソリン税等です。

◇その取扱いは大きく二つに分類できます

個別消費税には、一般消費税を課税する対価の額に含めるものと含めないものがあります。要は個別消費税に更にいわゆる5%の消費税を課税するものとしないものに分類できます。

①対価の額に含まれるもの

代表例が、たばこ税、酒税、ガソリン税です。これらの税金は本来、製造者が納税義務者となって負担することになっており、この個別消費税は製造原価の一部を構成することになります。この個別消費税を含めた全体を課税標準として5%消費税を課税しています。本体価格と税金は明確に区別されていません。所謂二重課税と言われているものです。

②対価の額に含まれないもの

代表例はゴルフ場利用税、入湯税、軽油引取税です。これらの税金はその利用者が納税義務者となって負担することになっており、その利用明細書などにより、本体価格と税金が明確に区分されています。この個別消費税は含めずに、本体価格のみを課税標準として5%消費税を課税しています。

◇経理担当の方はご注意ください

接待交際でゴルフプレー代を計上する場合や、トラックなどの燃料に軽油を購入した場合などには、これらの個別消費税が登場します。これらは5%消費税が課税されていませんから、当然所謂消費税の課税仕入れ(控除対象仕入税額)の計算に含めることはできません。特に軽油引取税は金額も大きくなりますので、消費税区分には十分ご注意ください。

 

◇再雇用されて継続雇用する時は

会社で定年を迎えても同一の事業所で引き続き再雇用されるケースが増えています。

高年齢者雇用安定法の改正で平成18年4月から平成25年までの間に65歳未満の希望者に対して「雇用確保措置」を講ずることとされており、①65歳までの定年の引き上げ、②継続雇用制度の導入、③定年制の廃止、の3種類の中からどれかを行う必要があります。

また、年金が満額支給となるのは、今年60歳を迎える昭和25年生まれの人で満65歳ということもあり、定年前と勤務条件は変わっても継続して働くことが多くなってきたようです。

◇社会保険の同日得喪の特例

定年により退職した65歳までの人が1日の空白もなく同一事業所で引き続き勤務する場合、再雇用に伴う給与の変動(普通は降給)と在職老齢年金の調整額を即応させるため、被保険者の取得と喪失を同時に行う「同日得喪」の特例が適用されます。

 

対象者は次の条件を満たす場合

①定年退職で引き続き再雇用される場合

②特別支給の老齢年金の受給権者(未請求者を含む)である場合

手続きは定年退職日の翌日に「被保険者資格取得届」と「被保険者資格喪失届」を提出するとともに定年時を確認できる就業規則の写し、退職辞令の写、事業主の証明等のいずれかを添付して提出します。

同日得喪の届出により退職日の翌月から新しい標準報酬の保険料となります。これにより、本人と事業主の保険料負担が早期に軽減されます。定年時の得喪でなく、別の時期に賃金改定を行った場合は通常の月額変更届となり変更後3カ月経過後の4ヶ月目より改定となります。

また、在職老齢年金は同日得喪を提出することにより定年時までの厚生年金加入期間で計算され、年金の支給調整額は再雇用後の新給与額に基づいた新総報酬月額相当額で計算されます。

 

猫の目のように変わる昨今の証券税制ですが、整理しますと次のようになります。

1)平成20年度税制改正により、平成21年以降の所得について確定申告で申告分離課税を選択することにより、上場株式等の譲渡損失と、上場株式等の配当金及び株式投資信託の分配金との損益通算が可能。

2)平成22年以降は、特定口座の「源泉徴収あり口座」にて受入れた上場株式等の配当金及び株式投資信託の分配金と特定口座内の譲渡損失との損益通算が可能。

3)上場株式等の売却益に係る税率は、平成21年〜23年までは10%(所得税7%、住民税3%)、平成24年以降は20%(所得税15%、住民税5%)。

◇取得費が不明な場合の特例措置

上場株式等の売却益については、平成15年(2003年)の税制改正で、現在の「申告分離課税」に1本化されました。

しかし、譲渡損益を計算する際には、その株式の取得費の把握が必要になりますが、当時まだ大量にあったタンス株などは相続等で取得したものや古い時代に購入したもので大部分を占めており、その取得費を調べることは事実上不可能でした。

そこで、取得費が不明な場合には、平成13年(2001年)10月1日の終値に80%を掛けた額を「みなし取得費」として申告ができるようにしたのが、みなし取得費の特例です。

この「みなし取得費の特例」計算が今年の12月31日で期限切れ廃止となります。

◇取得費の特例が適用される株式

取得費の特例が適用される株式は、平成13年(2001年)9月30日以前(2001年9月末までに購入した株式をそれ以後相続で取得した株式も含む)に取得した上場株式で、現在でも、相続した株式や昔に購入した株式をそのまま一般口座に保管されているもの、あるいは、株券電子化の際に必要な手続きをしないで信託銀行の特別口座に名義が移ったものも対象になります。

取得費が不明あるいは実際の取得費よりみなし取得費の方が高い株式を保有している人は、年内に「取得費の特例」を使うことで節税が期待できます。

特例が切れる来年以降、取得費不明な株式を売却した時の取得費は、「売却代金の5%」で計算することになっていますので、今年と比較して節税効果が大きく異なります。 

 

◇タバコ税の増税は10月1日から

2010年度税制改正でたばこ税の増税が決まりました。1本あたり3.5円(国・地方それぞれ1.75円)が引き上げられ、1箱あたり100円程度値上がりする予定です。

増税は今年10月1日からの適用となります。

◇禁煙治療も医療費控除の対象に

昨今の喫煙環境が厳しくなっていることに加え、このたばこ税の増税を受け、最近愛煙家の間で「禁煙治療」への関心が高まっているようです。

 

禁煙治療とは、医師の指導のもとでニコチン依存症を改善し、禁煙を実行していくものです。

以前は保険の対象外でしたが、2006年4月から医療診療報酬の改定により、禁煙治療についても医療保険が適用されることとなりました。

そこで、タバコ税の増税を機に禁煙に挑戦している方に朗報です。

禁煙治療にかかった費用も医療費控除の対象になります。

 

ただし、医療費控除を受けるためには、医療費として認められるものでなければなりません。

◇医療費として認められるものとは

所得税法施行令では、医療費控除の対象となるものは主に

 

1 医師又は歯科医師による診療又は治療
であること。

2 治療又は療養に必要な医薬品の購入であること。

としか規定していません。解釈すると以下のようになります。

既に病気になっており、その治療の一環として禁煙治療を受ける人はもちろん、病気でなくても、医師の指導により禁煙治療を受けたのであればその禁煙治療費は医療費控除の対象になり、また、医者から処方箋をもらって、ニコチンガムなどの禁煙補助薬を購入した場合は、医療費控除を受けることができます。

 

最高裁は7月6日、保険金を年金で受け取る場合の二重課税問題で、「相続開始により相続人が取得した年金受給権に相続税を課し、その年金に所得税を課すことは二重課税に当たる」と判決を下しました。

しかし、この判決では、年金で受け取る部分すべてが所得税の非課税となるわけではありませんので、くれぐれも注意してください。

つまり、最高裁が二重課税と認めた年金受給権1,380万円(230万円×10年×60%)が所得税の課税対象にならないのであって、年金の運用益にあたる920万円(2,300万円−1,380万円)は、所得税が課税されます。


年金給付付き生命保険は、受取人のニーズに合った保険といわれ、受取人は保険金を一時に受け取ってもどうしてよいか分からず、結局、預金しておくというケースが多いので、保険金の一部を年金でもらうことにより、受取人は運用を考えずに済みます。

最高裁判決においても、保険会社に運用してもらった運用益部分には、所得税課税が行われるとしています。

(注意)
上記の記載内容は、平成22年7月27日現在の情報に基づいて記載しております。

今後の動向によっては、会計、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

職場に働く人が育児のため休業し、職場に復帰した際、短時間勤務や残業しない場合は、休業前より賃金が下がるケースがあります。

このような時に社会保険では、保険料や給付面で本人に不利にならないような制度が設けられています。

◇育児休業等終了時月額変更届

社会保険の被保険者が育児休業を終了し、復帰した際本人の申し出で、短時間勤務等や残業免除等で休業前に比べて賃金が変動した場合(育休の対象の子を引き続き養育し、3歳未満である場合)報酬変動が随時改定(月額変更届)に該当しない時でも、標準報酬の改定を申し出る事ができます。

改定は育児休業終了月の翌日の属する月以後3カ月のうち支給基準日数17日以上の日の平均額を計算します。

随時改定と異なり、固定的賃金の変動を伴わない場合や、従前の標準報酬月額との差が1等級であっても適用となります。

改定が1月から6月にあった場合はその年の8月まで、7月から12月にあった場合は翌年の8月までが適用とされます。

◇厚生年金養育期間標準報酬月額特例申出書

3歳未満の子を養育する被保険者又は被保険者であった人で養育期間中の各月の標準報酬月額が養育期間開始月の前月の標準報酬を下回る場合、申し出により、従前の標準報酬で将来の年金額が計算されるような特例措置を受けることができます。

添付書類は子の生年月日や本人との身分関係が明らかになる、戸籍抄本等と養育確認のための住民票の写し等が必要です。

◇住民税の徴収猶予

育休をとる本人の申し出により、休業中の1年以内の期間、一時に納税するのが困難であると市区町村の長が認める場合、その間は徴収免除されます。

住民税は復帰後に延滞金とともに納税しますが延滞金は2分の1相当額が免除となっています(市区町村によっては全額免除の場合も有)。

7月1日、全国の国税局・税務署において、2010年分の路線価及び評価倍率が公表されました。

これらは、相続税や贈与税の土地等の課税評価額の基準となります。

全国約38万地点における、2010年1月1日時点の標準宅地の平均額は、2008年のリーマン・ショックによる土地需要の冷え込みなどもあって、下落率は昨年の5.5%から8.0%(1万2千円)に拡大し、1平方メートルあたり12万6千円と、昨年に引き続き2年連続の下落となりました。

圏域別にみますと、東京圏は昨年の▲6.5%から9.7%下落の1平方メートルあたり29万7千円、大阪圏が同▲3.4%から8.3%下落の15万5千円、名古屋圏が同▲6.3%から7.6%下落の11万円となり、東京・大阪・名古屋の三大都市圏はいずれも下落率が拡大し、2年連続の下落となりました。

なお、2008年分から路線価図等の冊子が作成されなくなりましたので、路線価を確認する際には、自宅や会社のパソコン、あるいは全国の国税局・税務署に設置してありますパソコンから、国税庁のホームページにアクセスしてください。

◇登録型派遣や製造業派遣が原則禁止に

08年から09年にかけ、製造業では、景気悪化から大量の派遣社員の雇用打ち切りがニュースとなった事は記憶に新しい事ですが、労働者派遣法の改正案が国会に提出されました。

それによると改正の大きな柱は①日雇派遣の原則禁止と②仕事のある時だけ働く「登録型派遣」派遣や日雇い派遣は原則禁止とされる事となっています。

◇派遣規制は二段階で行われる

①の日雇い派遣は2カ月以内の短期派遣や日雇い派遣は禁止されることとなり、施行は公布から6カ月以内ですので早ければ年内にも施行される事もあるかもしれません。

②の登録型派遣とは派遣先が決まった時点で期間を定めて雇用契約を結びますが、雇用が短期で断続的になりがちです。

改正法案では通訳など専門26業務を除き禁止、製造業派遣についても常時派遣会社と雇用契約を結び派遣先との仕事がない時でも派遣元との雇用を続ける常用型派遣以外認めないとしています。

こちらは公布から3年以内に施行されますが、登録型でも、一般事務等の需要の高い業務はさらに2年の猶予期間があります。

その他の改正点では、派遣会社がグループ企業に派遣する時は派遣される者の割合は8割以下にする必要があります。親会社が労働者を転籍させて派遣社員で再雇用することを防ぐためとしています。

また、契約期間を超えて派遣社員を雇用している場合は、派遣社員が直接雇用を申し込める「直接雇用みなし制度」も創設されます。

さらに、退職した人を派遣社員で受け入れることは離職後1年を経なければならないとしています。

◇規制が柔軟な働き方を難しくすることも

全体には非正規労働者の雇用安定を目指す内容ではあるのですが、企業では直接雇用による負担増になる事を懸念し派遣労働者の活用に慎重になったり、中小製造業では海外移転の動きも加速する事も予想され雇用環境の悪化の恐れもあります。いずれにしても施行されるのが3年先だとしても派遣元も派遣先も適正な請負、直接雇用、労働者派遣の3つを使い分ける準備に取り組まざるを得ないのかもしれません。

◇小規模企業共済法の一部改正

小規模企業共済制度は、個人事業主などが廃業退職した後の、生活資金を積み立てておく退職金制度です。これまでは事業主しか加入できなかった共済制度に、共同経営者として配偶者や後継者などの専従者が一事業所新たに2名までの加入が認められる改正案が国会で成立しました。近年、小規模企業者の7割を占める個人事業主の数は減少の一途を辿っており、金融危機に伴う経済状況は一層悪化に向かっています。個人事業主の数は86年の389万件から99年には306万件、さらに06年には257万件にまで減少しています。厳しい経営環境に対し、個人事業主が少しでも安心して事業に専念でき、事業承継環境整備にもなるような制度
改正が行われました。

◇小規模共済制度の概要

加入できる人は常時使用する従業員が20人(商業とサービス業では5人)以下の個人事業主または会社の役員等の方です。今回の改正で、事業の経営に携わる共同経営者が新たに加入できるようになり、事業主と一体となって経営を行っている給与の支払いのある配偶者や後継者も対象となりました。家族従業員も将来への安心を確保することで経営基盤強化につながる事でしょう。

掛金は月額1千円から7万円までの範囲内(5百円単位)で選ぶ事ができ、加入後の増額・減額もできます。掛金は全額が課税対象所得金額から控除されるので節税になります。又、受け取る時は、退職所得控除の対象にもなります(分割受け取りの時は公的年金等の雑所得扱いとなる)。

受取は、廃業及び老齢(65歳以上)により給付されます。

但し、小規模企業共済は短期加入で解約するとメリットが少ないので、加入の際はよく検討する必要があるでしょう。

又、納付した掛金の合計額の範囲内で事業資金貸付制度は以前からありましたが、新たに事業承継における資金確保を目的に「事業承継貸付(金利0.9%)」の創設もされます。

施行期日は公布の日から1年以内に政令で定める日としています。

災害救済法に基づき、宮崎県で発生した口蹄疫の被害救済に「義援金」の指定がなされました。義援金の名称は、「宮崎県口蹄疫被害義援金(以下「義援金」といいます。)」です。これを受け、平成22年5月21日、国税庁は、当該義援金は所得税法第78条第2項第1号及び法人税法第37条第3項第1号に規定する地方公共団体に対する寄付金に該当する旨の情報を発遣しました。

◇寄付金控除額又は寄付金の損金算入額の計算

したがって、個人の方が義援金を支払った場合には、特定寄付金として寄付金控除の対象となります。寄付金控除額は次の算式で計算します

(その年中に支出した特定寄付金の額の合計額)−2千円=寄付金控除額

なお、特定寄付金の額の合計額は所得金額の40%相当額が限度です。また、控除額2千円は平成22年度の税制改正で改められました。

一方、法人が義援金を支払った場合には、その支払額の全額が損金算入の対象になります。

◇適用を受けるための手続き

所得税においては、確定申告書に寄付金控除に関する事項を記載するとともに、確定申告書の提出の際に義援金の領収書を添付又は提示する必要があります。また、法人の場合は、確定申告書に義援金の金額を記載し、寄付金の明細書を添付するとともに義援金の領収書を保存する必要があります。

◇被災した取引先に対する支援金等

被災された事業者と取引関係にある事業者の方が、直接、被災された取引先に対して、お見舞金、事業用資産の供与、売掛金の免除、貸付金の免除等の支援をした場合、当該支援金等が交際費や寄付金に該当するのではないかと疑問に思う向きもあります。

しかし、当該支援金等の趣旨が被災前の取引関係の維持、回復を目的として、相手の救済を通じて自ら蒙る損失を回避するためのものであり、災害発生後相当の期間内になされたものであれば、原則、交際費等に該当することなく、全額損金の額に算入されます。

阪神・淡路大震災のときに、国税庁は通達を発遣してこの解釈を喧伝しました。

◇子ども手当の支給が始まる

政府は今年度から「中学卒業までの子ども一人当たり年31万2千円(月額2万6千円)の「子ども手当」を支給すると発表しています。22年度は半額の月額1万3千円支給としていますが、支給は22年6月及び10月と23年2月に各々の月の前月迄、その後は6月に2、3月分が支給される予定です。子ども手当の月額2万6千円を0歳から15歳まで受給し続けたとすると468万円になります。子どもが2人なら936万円、累計額をみると額の大きさがわかります。

◇賃金で支払われている家族手当

ここで、企業が支給している「家族手当」について考えてみましょう。会社員に扶養されている配偶者や18歳未満の子(又は高校生まで)に賃金として家族手当を支給している企業も多く、子ども手当と家族手当も受けられるとなると、子どものいない人から見るとかなり手取り額の差が出ると感じる人もいるかもしれません。又、この先子ども手当の支給が続くならば財政確保のため扶養控除や配偶者控除の廃止もありそうです。企業としては家族手当をどう考えるのがよいの
でしょうか。

◇各企業に応じた家族手当の考え方

景気低迷で生産高や労働時間も減り、手取りの収入が減少している勤労世帯では、定額の家族手当が給料額の中に占める割合が高まっています。今後の政治の動きもあり先行きは不透明ですが、子ども手当の支給が続いて行くのなら、家族手当は見直しや廃止もあり得るという考え方も出てくるかもしれません。もちろん一方では政府の方針に関係なく家族手当は支給していくという企業もあるでしょう。各企業の事情や経営者の考え方、社員の反応等いろいろな事態を考慮して検討する課題となるかもしれません。

5月10日、財務省は2010年3月末時点での国債や借入金などを合計した国の借金(債務残高)を前年同期に比べて36兆4,265億円(4.3%)多い882兆9,235億円と発表しました。

これは、前回発表の2009年12月末時点(871兆5,104億円)を11兆4,130億円も上回り、過去最大の額となります。

総務省の4月1日現在の人口推計(約1億2,739万人)に基づいて計算すると、赤ちゃんも含めた国民1人あたりの借金残高は約693万円となる計算です。 

要因として、景気後退に伴う相次ぐ補正予算の計上により、全体の約7割を占める普通国債残高が8.8%増の593兆9,717億円に膨らんだことだといわれています。

また、地方が抱える長期債務残高は2010年度末で約200兆円程度と見込まれており、国と地方を合わせた借金は、大台の1,000兆円を突破する状況となってしまいました。

この国の借金である882兆9,235億円は、2010年度一般会計予算の歳出総額92兆2,992億円の約9.6倍であり、同年度税収見込み額37兆3,960億円の23.6倍にも及びます。

今後、2010年度予算では、新規政策の財源不足を補うため、44.3兆円の新期国債発行を予定しており、2010年度末には国の借金が973兆円に達すると予想されています。

今後の財政規律の動向に注目です。

(注意)
上記の記載内容は、平成22年5月18日現在の情報に基づいて記載しております。

◇難解さを増す育児・介護休業法

子育てや介護をしながら働き続ける人の休業制度を定めた育児・介護休業法は育児・介護各々の対象者の範囲や社内手続きの違いで内容が複雑になっています。これまでにも改正を重ねてきましたが、この度休業後就労形態の選択肢の拡張に対応した改正が6月30日に施行されます。主要な改正ポイントを紹介します。

①3歳までの子を養育する労働者に対する短時間勤務制度(1日6時間)の措置の義務化、および所定外労働の免除の制度化

②子の看護休暇の拡充

③父親の育児休業取得促進

④介護休暇の創設

今回の改正の大きな柱は①ですが①と④については常時100人以下の労働者を雇用する企業は2年遅れで施行予定です。

◇子の看護休暇の拡充

現制度では養育する小学校就学前の子が病気やけがをした時にその子に対する看護休暇は1年に5日ですが、子が2人以上の場合は10日まで取得できるようになります。2人の子各々5日ずつということでなく1人の子だけの看護でも10日まで取得でき、子の予防接種や健康診断でも取得可能となります。

◇介護休暇の創設

改正法では要介護状態にある家族の介護を行う労働者が休業を申し出た場合1年で最大5日まで世話を行うための短期休暇が取得できるようになります。従来の介護休業とは別扱いで家族の病院の付添い、介護サービス受給のための手続き代行等、長期間でない介護や世話が対象です。

◇育児休業取得促進

妻の出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合、子が1歳2カ月になるまでの間に再取得ができるようになります。又、パパ、ママ育休プラスと称し、父母ともに育休を取得する場合も子が1歳2カ月になるまでの間に各々1年まで休業できるようになります。

◇会社は事実証明を提出してもらう

事業主は育児・介護休業を申し出た労働者に事実の証明を求めることができます。又、事業主は休業期間を書面等で通知することが必要です。

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所長プロフィール

公認会計士・税理士
安浪 聖


日本公認会計士協会
東海会所属
第19669号

名古屋税理士会
中村支部所属
第114641号

安浪(やすなみ)会計事務所

住所

〒453-0013
愛知県名古屋市中村区亀島2丁目12-12コマツビル2F

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