個人事業と法人(会社)の比較-経営面・税率等

個人事業(青色申告の場合)と法人(会社)の違いを簡単な表にしました。

・これから事業を始めるが、個人事業で開業するか、法人を設立するか迷っている方

・個人事業を営んでいるが、法人化(法人成り)するか迷っている方

の参考になればと思います。

   個人事業(青色申告) 法人(会社) (資本金1億円以下)
 (経営面)
 イメージ  企業イメージは低い  企業イメージが高い
(イメージが良いので、営業活動や採用活動を行いやすい)
 信用  事業主個人の信用となる  株式会社は一般的に社会的信用がある 
 金融機関  事業主個人の信用による  借入は比較的容易
 経営合理化

 @財産を事業用と個人用に明確な区分は困難

 A経営分析困難

 @財産を法人用と個人用とに明確に区分

 A経営分析可能

 決算期
(事業年度)
 12月31日  自由に設定できる
 責任  無限責任  有限責任
 事業承継

 @事業用財産をそれぞれ個別に名義変更

 A経営者の交代には、従業員、金融機関、
取引先等に所定の手続き必要

 @事業用財産が株式になり、生前に株式の所有を移転可能

 A経営者の交代手続きが比較的容易

 開業・設立手続き  登記不要
 手続きは簡便 費用なし
 登記必要
 手続きは煩雑 費用あり
 登記変更の際にも費用必要
 (税率等)
 所得税・法人税  超過累進税率 
 所得税率(速算表)
 比例税率 
 課税所得800万円以下・・・18%
       800万円超・・・30%
 事業税  (事業所得-290万円)×3〜5%  課税所得400万円以下・・・2.7%
 400万円超〜800万円以下・・4.0%
 800万円超〜5.3%+地方法人特別税
 県民税  所得割・・・一律4%
 均等割・・・1,000円
 (愛知県は1,500円)
 法人税割・・・5%
 均等割・・・最低20,000円
 (愛知県は最低21,000円)
 市区町村民税  所得割・・・一律6%
 均等割・・・3,000円
 法人税割・・・12.3%
 均等割・・・最低50,000円
 消費税  開業後2期間は免税
(例外あり:平成23年度税制改正)
 資本金1,000万円以下の場合は
 設立後2期間は免税
(例外あり:平成23年度税制改正)

 

個人事業と法人(会社)の比較-税金対策・労務面へ

個人事業と法人(会社)の比較-税金対策・労務面

   個人事業(青色申告)  法人(会社)(資本金1億円以下)
(税金対策面)
 経営者の
 給与
 経費とならない  役員報酬は経費(損金)にできる
 役員報酬は給与所得控除をうける
 経営者の
 家族への
 給与

 届出により労働の対価に見合う額の給与
は必要経費になる。
 配偶者控除、扶養控除は適用不可

 労働の対価に見合う額の給与は経費(損金)になる。
 金額により配偶者控除、扶養控除は適用可
 経営者への
 退職金

 事業主、事業主と同一生計の親族へ退職金を
支払うことはできない


 経営者、経営者の家族へ退職金を支払うことができる。
 @生存退職金は、退職所得になり、
 所得税は軽減される。
 A死亡退職金はみなし相続財産⇒
 非課税額大で税務上有利
 生命保険料  必要経費にはならない  一定のものは経費(損金)になる
 交際費  原則全額必要経費になる   一定の額が損金不算入になる
 出張日当  必要経費にならない  経費(損金)になる 
 事業用資産
 の賃料
 事業主及びその同一生計の親族への賃料は、
必要経費にならない
 その資産の所有による費用は必要経費になる
 通常の額の賃料は経費(損金)になる
 @(例) 家賃、支払利息
 Aもらった方は、不動産所得、雑所得

 減価償却  強制償却⇒赤字でも要償却  任意償却⇒赤字の場合は未償却可 
 欠損金の
 繰越
 3年間   7年間
 (労務面)
 社会保険  事業主及びその家族
 ⇒ 国民健康(年金)保険に加入
 従業員
 ⇒5人超で強制加入
 事業主、その家族及び従業員
 ⇒強制加入

 

個人事業と(会社)の比較-経営面・税率等へ 

法人化(法人成り)のメリット@/名古屋 税理士

上の表で個人事業と法人(会社)を比較しました。
それでは、具体的に法人化(法人成り)する場合、どの点がメリット・デメリットとして強調されるのでしょうか。
もう少し具体的に見ていきたいと思います。

法人化(法人成り)のメリット

1.対外的な信用度(イメージ・信用・金融機関)のアップ

一般的には、法人の方が事業を行う上で得意先や仕入先、銀行等の金融機関からの信頼を得やすいと言えます。

得意先等と取引をする条件として、法人でないと取引が出来ない、法人でないと許認可が下りない、という場合もあります。

銀行からの融資を受ける際も、通常は法人である方が融資を受けやすいと思います。

もちろん個人事業であっても十分な信頼を得ている事業者もありますし、得意先や仕入先と既に良好な関係を構築しており、あえて法人化をしてまで信用度を高める必要もない事業者の方も多いと思います。


2.経営の合理化

個人事業の場合は、預貯金や事業で使用している資産等は個人名義のものとなり、また、事業で得た現金は随時生活費などに使えますので、自由度が高いと言えます。

しかし、裏を返せば、個人事業主の財産は事業(経営)用と個人用が混在しがちなため、純粋に事業(経営)用だけの財産を把握しづらく、また、事業の結果を分析することが困難という側面があります

この点、法人化をする場合には、社長は会社から給与を支給され、また財産は法人(会社)に帰属する事になりますので、事業と個人の分離がしやすくなり、事業(経営)だけの状況を把握しやすいと言えます。

また、このように事業(経営)面を分離する事により、事業としての採算性が明確になりますので、経営上の問題点を正確かつタイムリーに把握しやすくなり、ひいては経営の合理化にもつながりやすいと言えます。


3.税率の違いによるメリット

まず、個人事業者にかかる税金(所得税・住民税・事業税)の税率ですが、超過累進税率のため、所得が増えるにつれ税率がどんどん上がっていき、最大で50%を超えます

一方で、法人にかかる税金(法人税・住民税・事業税)の税率ですが、所得が800万円までの税率は30%程度、所得が800万円を超える場合の税率は40%程度であり、それ以上は税率が上がる事はありません。

したがって、所得が一定額を超えると個人の税率は法人の税率を超えることになります。
よって個人事業者の場合で課税所得金額が大きい場合には法人化した方が節税メリットを得られます。

ではどれくらいで所得になったら法人化した方が有利なのでしょうか。
一概には言えませんが、利益が700万円〜800万円になったら法人化した方が税金は安くなることが多いと思います。

そこまでの利益が出ていない場合には、個人事業で青色専従者給与や青色申告特別控除などにより節税を試みても大きな差はないかもしれません。

目安として、利益が500万円を超えるようになったら一度税理士などに相談し、シュミレーションされることをお奨めします。


法人化(法人成り)のメリットAへ 

法人化(法人成り)のメリットA/名古屋 税理士

4.経営者への給与

法人化した場合、経営者が会社から給与(役員報酬)をもらうようになりますので、その分は会社としては経費になり、会社の所得は減る事になります。

他方、給与をもらった社長は、
給与所得控除を受けられます。給与所得控除は給与所得(役員報酬も給与所得です)に認められた定額の必要経費であり、つまり、役員報酬は会社にとっては全額(※)が必要経費となり、さらに受け取った経営者個人にとっても一定額は経費となるのです。

この給与所得控除分の節税メリットは、平成21年度までは会社の経費算入を制限する制度(特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度)が設けられていましたが
平成22年度の税制改正により廃止されています。

(※)役員報酬が法人税法上、損金(経費)として認められるためには、@定期的に同額支給する(定期同額給与)、Aあらかじめ定めた時期にあらかじめ定めた額を支給する(事前確定届出給与)、B利益連動給与のいずれかで支給される必要があります。


5.消費税のメリット

法人化した場合、資本金が1,000万円未満の会社初の2年間は消費税の納税義務が免除されます

課税売上高が1,000万円を超えると消費税の納税義務が生じますので、そのような会社の場合には2年間だけですが消費税の納税が免除されるので、その分資金を確保する事が出来ます。一定の売上があがっている事業については、法人化する最大のメリットと言えるかもしれません。

これは、個人事業者の場合も同じで課税売上高が1,000万円を超えるような場合であっても最初の2年間は消費税の納税義務がありません。

よってこれから起業するような方は、最初の2年間は個人事業で初めて消費税の課税事業者になる3年目に法人化すれば、また2年間消費税が免除されますので、
計で4年間の消費税の納税が免除される事になります。

平成23年度税制改正を確認ください!】
平成23年度の税制改正により、消費税の事業者免税点制度における免税事業者の要件について、次の見直しが行われました。

@個人事業者のその年又は法人のその事業年度につき現行制度において事業者免税点制度の適用を受ける事業者のうち、次に掲げる課税売上高が1,000万円を超える事業者については、事業者免税点制度を適用しないこととします。

(a)個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの間の課税売上高
(b)法人のその事業年度の前事業年度(7月以下のものを除く)開始の日から6月間の課税売上高
(c)法人のその事業年度の前事業年度が7月以下の場合で、その事業年度の前1年内に開始した前々事業年度があるときは、当該前々事業年度の開始の日から6月間の課税売上高(当該前々事業年度が5月以下の場合、当該前々事業年度の課税売上高)

A@の適用にあたり、事業者は@の課税売上高の金額に代えて、所得税法に規定する給与等の支払額の金額を用いることができることとします。

B@に該当することとなった場合には、その旨の届出書を提出すること等の所要の措置を講じます。

C上記のその年又はその事業年度が平成25年1月1日以後に開始するものについて適用します。

この改正により、売上規模の大きい個人事業が法人成りした場合には、免税期間が1事業年度のみとなりますので、消費税上の法人成りのメリットは半減すると言えます。
ただし、Aの記載のとおり、課税売上高と給与等の支払額のいずれか小さい方を基準として選択できるため、小規模事業者については引き続き消費税免税のメリットが残っていると言えます。

6.事業承継のメリット

例えば、個人事業者である親から子への事業承継の際には親の名義の事業用財産(預金、固定資産など)を、後継者である子の名義に個別に順次変更していく事になります。親の事業用財産が大きい場合には、子への移転の際には贈与税、相続税の問題が生じる可能性もあります。

また、外部の得意先、仕入先から見れば親と子とは別の事業者ですので、
個別に事業者変更の所定の手続きなどをしていく必要があります。

一方で、法人化をした場合には、
事業用財産は基本的には法人の名義になりますので、経営者の交代の際にも名義を移転する必要がなくなります

また、法人への出資の持分である株式は、事業用財産の移転に比べ一般的には移転が容易です。(特に金額が大きくなるほど、この差が出てきます。)

外部の得意先、仕入先から見た場合にも、別の事業者との取引になるわけではなく、単に法人の代表者が変わるだけですので、経営者の交代の際の手続面の負担も少なくてすみます


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法人化(法人成り)のデメリット/税理士 名古屋

法人化(法人成り)のデメリット

1.決算・申告実務の複雑化

法人化した後の経理処理・税務申告は、個人事業の場合に比べ複雑になります。

会計帳簿は青色申告特別控除の適用を受けておられる個人事業者であれば自力で作成することは可能です。

しかし、法人税等の申告書を作成することはかなりの専門知識を必要とし、多くの場合は税理士などの専門家に依頼をする事になります。その際には報酬が必要となります。

個人事業者の方で税理士などに報酬を支払っている場合なども、法人化した場合には通常は報酬が上がります。


2.商業登記が必要となります

個人事業の場合は開業は開業届を税務署に提出するのみで費用はかかりませんが、法人は商業登記が必要であり、会社設立時には設立費用が最低でも20万円かかり、また、本店移転、役員変更、増資等の場合はその都度登記が必要となります。


3.均等割が発生します

たとえ会社が赤字であっても、法人の場合には毎年最低7万円の法人住民税(県民税・市民税)の支払いが必要です。


4.社会保険の加入の強制

社会保険への加入が強制され、従業員のいない(社長の)1人会社でも加入義務が発生します。


最後に

以上、法人化(法人成り)のメリット・デメリットを記載しました。

確かに、一般に言われるように、法人化(法人成り)による節税のメリットは小さくありません。しかし、法人化(法人成り)によるデメリットも少なからず存在します。

節税メリットのみを目的に法人化(法人成り)した場合、デメリットの負担が重いと感じられる経営者もいらしゃるようです。

法人化(法人成り)される場合には、メリット・デメリットを総合的に勘案し、ご自身が営まれている事業が将来どのように発展していくのか、といったビジョン(目標、夢)を含めてご検討いただく必要があると思います。
結局、法人化(法人成り)の成否は経営者の方の将来の夢・目標への想いの強さにかかっていると言えると思います。

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