4.経営者への給与

法人化した場合、経営者が会社から給与(役員報酬)をもらうようになりますので、その分は会社としては経費になり、会社の所得は減る事になります。

他方、給与をもらった社長は、
給与所得控除を受けられます。給与所得控除は給与所得(役員報酬も給与所得です)に認められた定額の必要経費であり、つまり、役員報酬は会社にとっては全額(※)が必要経費となり、さらに受け取った経営者個人にとっても一定額は経費となるのです。

この給与所得控除分の節税メリットは、平成21年度までは会社の経費算入を制限する制度(特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度)が設けられていましたが
平成22年度の税制改正により廃止されています。

(※)役員報酬が法人税法上、損金(経費)として認められるためには、①定期的に同額支給する(定期同額給与)、②あらかじめ定めた時期にあらかじめ定めた額を支給する(事前確定届出給与)、③利益連動給与のいずれかで支給される必要があります。


5.消費税のメリット

法人化した場合、資本金が1,000万円未満の会社初の2年間は消費税の納税義務が免除されます

課税売上高が1,000万円を超えると消費税の納税義務が生じますので、そのような会社の場合には2年間だけですが消費税の納税が免除されるので、その分資金を確保する事が出来ます。一定の売上があがっている事業については、法人化する最大のメリットと言えるかもしれません。

これは、個人事業者の場合も同じで課税売上高が1,000万円を超えるような場合であっても最初の2年間は消費税の納税義務がありません。

よってこれから起業するような方は、最初の2年間は個人事業で初めて消費税の課税事業者になる3年目に法人化すれば、また2年間消費税が免除されますので、
計で4年間の消費税の納税が免除される事になります。

平成23年度税制改正を確認ください!】
平成23年度の税制改正により、消費税の事業者免税点制度における免税事業者の要件について、次の見直しが行われました。

①個人事業者のその年又は法人のその事業年度につき現行制度において事業者免税点制度の適用を受ける事業者のうち、次に掲げる課税売上高が1,000万円を超える事業者については、事業者免税点制度を適用しないこととします。

(a)個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの間の課税売上高
(b)法人のその事業年度の前事業年度(7月以下のものを除く)開始の日から6月間の課税売上高
(c)法人のその事業年度の前事業年度が7月以下の場合で、その事業年度の前1年内に開始した前々事業年度があるときは、当該前々事業年度の開始の日から6月間の課税売上高(当該前々事業年度が5月以下の場合、当該前々事業年度の課税売上高)

②①の適用にあたり、事業者は①の課税売上高の金額に代えて、所得税法に規定する給与等の支払額の金額を用いることができることとします。

③①に該当することとなった場合には、その旨の届出書を提出すること等の所要の措置を講じます。

④上記のその年又はその事業年度が平成25年1月1日以後に開始するものについて適用します。

この改正により、売上規模の大きい個人事業が法人成りした場合には、免税期間が1事業年度のみとなりますので、消費税上の法人成りのメリットは半減すると言えます。
ただし、②の記載のとおり、課税売上高と給与等の支払額のいずれか小さい方を基準として選択できるため、小規模事業者については引き続き消費税免税のメリットが残っていると言えます。


6.事業承継のメリット

例えば、個人事業者である親から子への事業承継の際には親の名義の事業用財産(預金、固定資産など)を、後継者である子の名義に個別に順次変更していく事になります。親の事業用財産が大きい場合には、子への移転の際には贈与税、相続税の問題が生じる可能性もあります。

また、外部の得意先、仕入先から見れば親と子とは別の事業者ですので、
個別に事業者変更の所定の手続きなどをしていく必要があります。

一方で、法人化をした場合には、
事業用財産は基本的には法人の名義になりますので、経営者の交代の際にも名義を移転する必要がなくなります

また、法人への出資の持分である株式は、事業用財産の移転に比べ一般的には移転が容易です。(特に金額が大きくなるほど、この差が出てきます。)

外部の得意先、仕入先から見た場合にも、別の事業者との取引になるわけではなく、単に法人の代表者が変わるだけですので、経営者の交代の際の手続面の負担も少なくてすみます

 


法人化(法人成り)のメリット①へ
法人化(法人成り)のデメリットへ

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
052-452-0595

受付時間:9:00~18:00
定休日:土日祝

若手の公認会計士・税理士が運営する会計事務所です。名古屋駅から徒歩5分。名古屋(名駅エリア)を中心に愛知県、岐阜県、三重県に対応します。

対応エリア
名古屋市中村区(名駅エリア)及び中川区、昭和区、港区、中村区、千種区、中区、東区、天白区、昭和区、瑞穂区、北区、守山区を中心に名古屋市の各区、日進市、春日井市、尾張旭市、瀬戸市、長久手町の各市町、愛知全域、岐阜、三重の各県にも対応します。

お問合せはこちら

syotyo (1).jpg

お電話でのお問合せ・相談予約

052-452-0595

お問合せはお気軽にどうぞ
<受付時間>
9:00~18:00
※土日祝は除く

所長プロフィール

公認会計士・税理士
安浪 聖


日本公認会計士協会
東海会所属
第19669号

名古屋税理士会
中村支部所属
第114641号

安浪(やすなみ)会計事務所

住所

〒453-0013
愛知県名古屋市中村区亀島2丁目12-12コマツビル2F

アクセス

若手の公認会計士・税理士が運営する会計事務所です。名古屋駅から徒歩5分。名古屋(名駅エリア)を中心に愛知県、岐阜県、三重県に対応します。

受付時間

9:00~18:00

定休日

土日祝

業務エリア

名古屋市中村区(名駅エリア)及び中川区、昭和区、港区、中村区、千種区、中区、東区、天白区、昭和区、瑞穂区、北区、守山区を中心に名古屋市の各区、日進市、春日井市、尾張旭市、瀬戸市、長久手町の各市町、愛知全域、岐阜、三重の各県にも対応します。